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皆さんこんにちは!
株式会社Tnor、更新担当の中西です。
~経済的役割~
現代の産業構造を支える多くの製造現場には、膨大な量の機械や設備が稼働しています。それらの機器の性能を保ち、安全に長く使い続けるために不可欠なのが「産業用機器洗浄業」の存在です。一見すると地味で裏方の仕事ですが、その経済的インパクトは決して小さくありません。
産業用機器洗浄業が経済全体にどのように貢献しているのか、その機能的価値と波及効果について深く掘り下げます。
機械設備に付着する油脂、粉塵、薬品残渣などの汚れは、性能の劣化や不良率の増加、最悪の場合は突発的な停止(ダウンタイム)を招きます。洗浄業はそれを未然に防ぐことで、企業の生産活動を支えています。
ダウンタイムの短縮・予防による損失回避
不良品率の低下による品質保証コストの削減
安定稼働により納期遅延や顧客離れの防止
洗浄によって製造ラインの信頼性が保たれることは、企業活動の継続と収益確保の根幹であり、結果として地域経済・産業全体への波及効果をもたらします。
産業用機器は数百万~数億円に及ぶ高額な投資対象です。適切な洗浄とメンテナンスが施されることで、機器の寿命が延び、買い替えの頻度が低減します。
長期使用による減価償却期間の延長
予防保全の徹底で修理費・買替費の削減
経営資源の最適分配(人材・時間・資金)
これにより企業は、限られた資金をより成長戦略的な領域(研究開発・販路開拓)へ投入でき、経済の活性化にもつながるのです。
特に医薬品・食品・半導体・精密機器などの分野では、洗浄が製品の品質・安全性を左右する重要な工程です。異物混入やコンタミ(交差汚染)を防ぐための洗浄レベルが、企業の信用力と市場競争力に直結しています。
医薬・食品のGMP(適正製造基準)対応
半導体製造装置などの国際規格対応洗浄
高品質・高精度な製品製造の前提条件としての洗浄技術
つまり、産業用機器洗浄は、日本製品の「品質」を裏から支える技術インフラであり、輸出競争力を支える経済的基盤の一つです。
洗浄業は単体で完結せず、以下のような関連業種との連携によって成り立っています。
洗浄剤メーカー・装置メーカー
産業用機械整備業・保全業
廃液処理業・産業廃棄物処理業
運輸・物流業(洗浄対象機器の運搬)
このように、洗浄業は地域の中小企業間ネットワークを活性化し、産業クラスター形成の一翼を担う存在です。
さらに、地元の工場・施設を定期巡回する洗浄業者の存在は、地域雇用の創出や技能継承の場としても重要です。
近年、産業用機器洗浄業は脱炭素・循環型社会の文脈でも注目を集めています。排水の浄化、環境対応型洗浄剤の導入、省資源化などの取組みを通じて、持続可能な産業活動に貢献しています。
機器の長寿命化による資源消費の削減
環境負荷の少ない洗浄プロセスの導入
環境対応による企業価値の向上(ESG・SDGs)
これらの取り組みは、企業が環境配慮を社会的責任として果たす際の、実行支援機能としての経済的価値を持っています。
産業用機器洗浄業は、単なるメンテナンスの一部ではなく、生産活動の安定化・設備資産の最適化・品質維持・地域経済活性化・環境貢献といった、多面的な経済的役割を担っています。
経済が目指す「効率・信頼・持続性」を根本で支える存在であり、今後もAI・自動化・環境技術との融合を通じて、さらに高度な産業インフラの中核を担う業種として進化を続けていくことでしょう。
お問い合わせはお気軽に♪
皆さんこんにちは!
株式会社Tnor、更新担当の中西です。
~多様化~
産業の高度化と複雑化が進む中で、「洗浄」という作業が果たす役割も大きく変化しています。かつては単なるメンテナンスの一環として位置づけられていた産業用機器洗浄業は、近年では設備のパフォーマンス維持、品質管理、環境負荷軽減、さらには生産性向上を支える専門的かつ戦略的な業種として多様化が進んでいます。
産業用機器洗浄業の多様化がどのように進んでいるか、具体的な事例や背景を踏まえながら深く掘り下げていきます。
従来、産業用機器洗浄の主な対象は、食品工場や化学プラント、鉄鋼業などに限られていました。しかし、現在ではあらゆる分野の工場設備・生産ライン・精密機器に対応が広がっています。
半導体・電子部品産業:ナノレベルの洗浄対応
製薬業界:無菌洗浄やCIP(定置洗浄)システムへの対応
自動車・航空分野:エンジン部品や機体部品の脱脂・粒子除去
再生可能エネルギー分野:太陽光パネルや風力タービン部品の洗浄
このように、洗浄業務は単なる「清掃」から「製造プロセスの一部」へとその役割が拡大しており、高精度な処理が求められる業界でも不可欠な存在となっています。
素材の複雑化や環境への配慮の高まりにより、使用する洗浄技術も高度かつ多彩になっています。
高圧水洗浄・スチーム洗浄:重汚染機器の洗浄や除菌対応
超音波洗浄:精密機器や金型の微細な汚れ除去
ドライアイス洗浄:水分を避けたい設備への非接触洗浄
溶剤・界面活性剤洗浄:油脂や化学物質の強力な除去
環境対応型洗浄剤の使用:生分解性や無公害成分を選定
これにより、洗浄業は技術選定のノウハウを活かして、現場ごとの課題をカスタマイズして解決できる専門サービス業へと進化しています。
産業用機器洗浄業は、作業そのものだけでなく、保守計画・検査・改善提案といった周辺業務も含めて多様化しています。
定期洗浄契約:生産設備の長寿命化・計画保全
緊急対応サービス:ライン停止時のトラブル対処
洗浄後の性能検査・流量測定
改善提案・設計協力:洗浄性を考慮した設備設計支援
これにより、単なる請負業者ではなく、顧客の生産性や品質を一緒に設計するパートナーとしての役割を果たしています。
環境規制の強化により、洗浄業でも省エネルギー・低廃棄物・無公害対応が求められています。
有機溶剤から水系洗浄剤への切り替え
排水処理設備との連携、再利用可能な洗浄液の導入
CO₂排出量の可視化によるグリーン調達対応
SDGs文脈での安全で安心な労働環境の整備
こうした取り組みは、脱炭素社会への転換や企業のESG戦略の一翼を担うものとして、洗浄業に新たな価値を生み出しています。
産業用機器洗浄業では、人材のスキルセットと機材の高度化も顕著に進んでいます。
熟練作業員による現場対応+若手人材のICT化支援
ロボット洗浄装置やドローンによる設備内部の点検
遠隔監視や洗浄履歴管理のクラウド連携
AIによる最適洗浄条件の提案
このように、洗浄業もDXの波に乗り、現場作業とデジタルの融合が求められる時代に突入しています。
産業用機器洗浄業の多様化は、単に扱う業種や技術が増えたというだけではありません。現代の製造現場において、清浄さは生産品質・効率・環境への責任を直接左右する要素であり、洗浄業はその中核を担う重要なパートナーとしての地位を築きつつあります。
「ただの掃除屋」ではなく、“機器の健康を守る専門医”のような役割へと進化している産業用機器洗浄業。今後さらに、多様な課題に応えながら、新しい価値を生み出していくことでしょう。
お問い合わせはお気軽に♪
7月9日(水)~11日(金)に幕張メッセで
『第37回 ものづくりワールド 東京』が開催されます。
当社の出展ブースは【第8ホール 49-13】です。
入場には事前来場登録が必要となります。
こちらからご登録をお願い致します。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
皆さんこんにちは!
株式会社Tnor、更新担当です。
今回は、私たちが産業機器洗浄という仕事を通じて実感する**「やりがい」**についてご紹介します。
現場作業は大変なことも多いですが、その先にある“達成感”や“感謝の声”があるからこそ、私たちは続けられる。
その理由を、いくつかの側面から見ていきましょう。
これは、実際によくいただく言葉です。
例えば、発電所の冷却配管にスケールが溜まり、流量が急減。
通常の定期点検で見つからなかった部分を、当社の高圧ウォータージェットで除去し、トラブルを未然に防止。
こうした対応の結果、
「大損失を回避できた」「設備が生き返ったようだ」という感謝の声が、
何よりのモチベーションになります。
産業機器洗浄は、“ビフォー・アフター”がハッキリわかる仕事。
真っ黒だったタンク内部が、鏡のようにピカピカになった瞬間。
油とホコリで詰まっていたノズルから、勢いよく液体が噴射されるようになった瞬間。
「やった感がある」
「成果が目に見える」
という、**職人的な満足感を味わえるのが、この仕事の醍醐味です。
この業界では、ただ言われたとおりに作業しているだけでは成長できません。
「どうすればこの汚れに一番効くのか?」
「この場所はどうやって洗浄ノズルを挿入するか?」
「バルブを傷つけずに中だけを洗うにはどうするか?」
など、考えて工夫する力が自然と身につきます。
だからこそ、ベテランになればなるほど、“技術で勝負できる職人”として評価されるようになります。
産業機器洗浄の現場は、常に1人では完結しません。
吊り上げ担当
洗浄ノズル担当
監視・安全管理
記録・検査担当
それぞれの役割を声を掛け合いながら連携し、1つの現場を完了させる。
「みんなで乗り越えた達成感」があるからこそ、チームの絆も強くなり、人間関係も良好になりやすいのが特長です。
社会がどんなに変化しても、機械がある限り“洗浄”のニーズは無くなりません。
むしろ、機械が高性能・高精密になればなるほど、洗浄の技術が求められるのです。
自動化では難しい細かな作業
デリケートな部品や密閉構造物への対応
安全基準に対応した薬液の扱い
こうした高度な対応力があるからこそ、**機械が進化しても“人が活きる仕事”**であり続けます。
産業機器洗浄業は、「見えない所を支える、必要とされる技術職」。
それは、ただの作業ではなく、「信頼される仕事」であり、
毎回の現場で確実に「自分の腕が上がる実感」を得られる職場です。
あなたも、こうした“確かな手応え”のある世界で、技術を磨いてみませんか?
次回もお楽しみに!
お問い合わせはお気軽に♪
皆さんこんにちは!
株式会社Tnor、更新担当です。
今回のテーマは、私たちが日々取り組んでいる「産業機器洗浄業の魅力」について。
一見すると地味に思われがちなこの業種ですが、実は多くの現場やインフラを裏から支える、非常に価値のある技術職なのです。
“洗浄”と聞くと、家庭の掃除や洗車のようなイメージを持たれる方が多いかもしれません。
しかし、産業機器洗浄はそのスケールも精度も桁違い。
発電所のボイラー
工場の熱交換器、配管、タンク
自動車・半導体・製薬・食品製造の機械装置
化学プラントの反応容器やノズル
など、産業の根幹をなす設備を対象に、高圧洗浄、薬液洗浄、超音波洗浄、ドライアイス洗浄などの技術を用いてメンテナンスを行う専門業種です。
機械設備は、汚れやスケール(付着物)が溜まると、冷却効率や安全性が大きく低下します。
最悪の場合、生産ラインの停止や事故、火災などの原因にもなりかねません。
産業機器洗浄は、そうしたトラブルを未然に防ぎ、
**工場・発電所・インフラの安定稼働を陰で支える“守りの要”**です。
言い換えれば、“私たちの生活そのものを支える仕事”と言っても過言ではありません。
たとえば一口に“高圧洗浄”といっても、対象によってノズルの種類・圧力・温度・角度すべてが変わります。
また、薬品洗浄では
洗浄対象の材質に対して腐食しないか?
中和処理や排水処理はどうするか?
など、化学的な知識と安全管理も必要です。
このように、単なる作業ではなく、考え、組み立て、改善する“技術職”としての魅力が詰まっています。
同じ機械でも、汚れの状態や設置環境が違えば、洗浄方法も変わってきます。
狭くて人が入れない場所にロボットを使う
水が使えないためドライアイス洗浄を選ぶ
食品工場では、“異物ゼロ”のクリーン洗浄が求められる
その都度ベストな手法を考え、現場に合わせた最適解を出す“応用力”が試されるのです。
産業機器洗浄は、特定の業種に限定されません。
電力
製造業
化学
食品
医療
建築
など、あらゆる業界で洗浄ニーズがあり、不況にも強い安定性のある職種です。
私たち産業機器洗浄業のプロは、設備の「健康診断と治療」を担う技術者です。
見えない部分を徹底的にキレイにし、機械の性能を最大限に引き出す。
そんな“縁の下の力持ち”としての誇りと使命感こそ、この仕事の最大の魅力です。
次回もお楽しみに!
お問い合わせはお気軽に♪
皆さんこんにちは!
株式会社Tnor、更新担当です。
前回は、産業機器洗浄が抱える環境課題について解説しました。
今回はその続きとして、**産業機器洗浄業の「未来像」**に焦点を当てて一般的な市場での動向を基にお話しします。
現場の熟練技術に支えられてきたこの業界も、環境・安全・効率化への社会的要請が高まるなかで、大きな転換期を迎えようとしています。
環境負荷を軽減しつつ、効果的な洗浄を実現するための革新技術が次々と登場しています。
ドライアイスブラスト洗浄:CO₂の固体を使って表面を剥離。排水不要、薬品ゼロ。
超高圧水洗浄(3,000kgf/cm²以上):物理的衝撃で付着物を除去。薬品に頼らない。
超音波洗浄・キャビテーション洗浄:精密部品にも対応でき、廃液も最小限。
これらの技術は、薬品を使わず環境に優しいうえ、作業員への健康負荷も低減できるため、持続可能な洗浄技術として注目されています。
最近では、「バイオ分解型洗浄剤」や「天然酵素を利用した油脂除去剤」など、生分解性・再生可能資源をベースとした製品が登場しています。
これにより、
排水処理の簡易化
作業環境の改善(刺激臭・腐食性低減)
環境認証(エコマーク・グリーン購入法)の取得
など、多方面での効果が期待されています。
産業機器洗浄業にも、いまやDXの波が押し寄せています。現場の属人化やムダを排除するため、次のようなテクノロジーの導入が進んでいます。
洗浄装置にセンサーを組み込み、温度・圧力・汚れ除去率などをリアルタイムで監視
最適な薬品濃度や時間を自動制御することで、無駄を最小化
設備使用状況をもとに、いつ洗浄すべきかをAIが提案
過剰清掃やタイミング遅延を防ぎ、設備効率の最大化
洗浄履歴・薬品使用履歴・廃液量をクラウド管理
顧客への報告書の自動生成や、品質管理の標準化にも寄与
技術革新が進むなかで、産業機器洗浄業に求められるのは、
安全・環境・品質の3軸をバランスよく追求する力
現場力とテクノロジーを融合できる人材の育成
見えない部分を“見える化”し、顧客へ信頼を届ける企業体制
といった、次世代型の業者像です。洗浄作業は“汚れを落とすだけ”ではなく、社会と企業のサステナビリティを支える価値ある行為なのです。
産業機器洗浄業の未来は、「環境にやさしく、効率的で、信頼されるサービス」へと確実に進化しています。
そのカギとなるのは、技術革新×環境意識×現場力の三位一体。目に見えにくい作業だからこそ、誠実に、そして戦略的に取り組む姿勢が、これからの業界価値を形作っていくでしょう。
次回もお楽しみに!
お問い合わせはお気軽に♪
皆さんこんにちは!
株式会社Tnor、更新担当です。
今回は、ものづくりやインフラ保全に欠かせない存在である「産業機器洗浄業」について、環境との関係に注目して一般的な市場での動向を基にご紹介します。
一見、あまり表に出ないこの業種。しかし、食品工場、化学プラント、発電所、自動車工場、半導体製造などあらゆる業界の安全・品質を陰で支えているのが、産業機器洗浄のプロたちです。
産業機器洗浄業とは、機械設備や配管、タンク、熱交換器、集塵機などの内部・外部に付着した汚れや堆積物を専用の機器と薬品で除去する作業を行う業種です。
目的は以下の通りです:
機器の性能回復・維持
製品への異物混入・汚染の防止
火災・爆発などの危険要因の除去
メンテナンスによる寿命延伸
このように、産業機器の「機能と安全」を維持するために欠かせない存在ですが、その洗浄行為そのものが環境負荷をもたらすという側面もあります。
産業用の洗浄には、強酸・強アルカリ・有機溶剤などの薬品が使われるケースも多く、以下のような環境リスクが伴います:
廃液が適切に処理されないまま流出
排気ガスによる大気汚染
作業員の健康被害(吸入・皮膚障害)
こうした問題を防ぐため、厳格な薬品管理・廃液中和処理・専用の排水処理装置が必要とされますが、中小規模の事業者では対応が不十分なケースもあります。
高圧洗浄やスチーム洗浄は大量の水と熱エネルギーを使用します。特に食品や化学系の工場では、1回の洗浄で数トン単位の水やガスを使用することも珍しくありません。
これは、
CO₂排出
水資源の過剰使用
コスト増大
などの問題に直結します。
洗浄の際には、取り除かれたスケール、金属粉、油脂、粉塵などが廃棄物として排出されます。これらは有害物含有や難処理物質を含む場合もあり、産業廃棄物として適切な処理が求められます。
また、特別管理産業廃棄物(例:PCB含有装置、重金属を含む堆積物など)の処理に対応できない業者では、無理な処理や違法廃棄のリスクがあるのも現実です。
多くの企業では、環境負荷を軽減するために以下のような取り組みが進められています:
中性・低刺激の環境配慮型洗浄剤の使用
洗浄液の再利用・循環システムの導入
排水処理設備の高度化
**無薬品洗浄(ドライアイス・超高圧水・超音波洗浄など)**へのシフト
こうした改善は、単なる環境対応にとどまらず、企業の「ESG(環境・社会・ガバナンス)」や「SDGs達成」への意識とも直結し、企業価値の向上にもつながります。
産業機器洗浄業は、縁の下で産業を支える一方で、化学薬品・水・エネルギー・廃棄物といった環境負荷を伴う特殊な業種でもあります。
次回は、こうした課題と向き合いながら、産業洗浄がどのように未来に向けて進化していくのか、そして求められる企業姿勢や技術革新について詳しく解説します。
次回もお楽しみに!
お問い合わせはお気軽に♪
皆さんこんにちは!
株式会社Tnor、更新担当です。
さて
~工程設計~
ということで、精密洗浄における工程設計の基本構成から、各ステップでの留意点、最適化の方法までを実務レベルで詳しく解説します
精密機器産業において、「洗浄工程」は単なる前処理工程ではなく、製品性能そのものを左右するコア工程のひとつです。特に半導体、光学、医療機器、航空宇宙といった業界では、ナノレベルの粒子や化学残留物が製品に致命的な欠陥を与える可能性があるため、科学的・統計的な裏付けをもった工程設計(プロセス設計)が必要不可欠です。
。
まず、精密洗浄の工程設計とは何を意味するのかを明確にします。
安定した清浄度の達成(再現性)
製品へのダメージ回避(表面変化、腐食、変形など)
作業効率・コスト最適化
トレーサビリティと品質保証の確立
精密機器向け洗浄では、以下のような多段階の工程が採用されることが一般的です:
予備洗浄(プレウォッシュ)
└ 大まかな油分や粉塵の除去。多くは中性洗剤を使用。
本洗浄(メインウォッシュ)
└ 超音波洗浄や薬品洗浄を含む工程。粒子、イオン、有機物を徹底除去。
リンス(純水洗浄)
└ 超純水を使って洗浄薬品や汚染物を完全にすすぐ。
乾燥(ドライ工程)
└ クリーンオーブン、IPAディスプレイスメント、真空乾燥など。
検査・評価
└ 粒子数、TOC、残留イオン、外観などの評価による工程の妥当性確認。
材質によって、使える薬品や超音波出力が大きく変わります。
アルミ → 酸性薬品NG、腐食リスクあり
ステンレス → 塩素系薬品は応力腐食のリスク
樹脂 → 有機溶剤により膨潤・変形の恐れ
→ 材質ごとのSDS適合チェックと事前テストが必須
洗浄後に求められるスペックを設計時に明確化します。
指標 | 例 |
---|---|
粒子数 | 0.5μm未満の粒子が100個以下 |
有機物残留 | TOC 5ppb以下 |
金属イオン残留 | Na⁺、Cl⁻など 1ppb以下 |
表面粗さ | Ra 0.05μm以下維持 |
→ 仕様から逆算して洗浄方法・時間・濃度を決定
物理的方法:超音波洗浄、スプレー洗浄、真空洗浄
化学的方法:酸洗、中性洗剤、有機溶剤、キレート剤など
精密分野では、これらのハイブリッド方式(物理+化学)が主流です。
例
ステンレス微細部品の洗浄
→ 中性洗剤+40kHzの超音波洗浄(10分)+超純水リンス(5分)+IPA乾燥
洗浄工程そのものがクリーンルーム内で行われることも多く、その設計も重要です。
クリーン度クラス(ISO 14644-1に準拠)
静電気管理(ESD対応)
温度・湿度・空気流量のコントロール
作業員のPPEや教育訓練体制
洗浄直後の乾燥が不十分だと、水滴によるマイクロスケールのウォータースポットや腐食を引き起こします。
IPAディスプレイスメント乾燥:気化熱で素早く乾燥
クリーンオーブン乾燥:低温+HEPAフィルター対応
真空乾燥:表面残留水分ゼロを目指す高精度法
また、洗浄後はすぐにクリーンパック(ナイロン/アルミ袋+窒素置換)で密封保管するのが望ましいです。
精密洗浄工程では、以下のような品質管理手法を活用した工程設計が推奨されます。
DOE(実験計画法):温度・時間・濃度などを統計的に組み合わせ最適条件を決定
FMEA(故障モード影響分析):洗浄工程でのリスク要因を洗い出し、対策を講じる
SPC(統計的工程管理):洗浄後の粒子数やTOCを定量管理し、異常の早期発見に活用
精密洗浄は、もはや「洗う」という単純作業ではなく、プロセスエンジニアリングそのものです。正しく工程を設計・文書化し、常に管理・改善を行うことで、製品の信頼性と市場競争力を飛躍的に高めることができます。
製品トラブルが発生したとき
顧客仕様が変わったとき
新しい洗浄薬品や設備を導入したとき
洗浄品質のばらつきが見られるとき
今の工程が本当に最適なのか、定期的な「工程レビュー」も品質維持のカギです。
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皆さんこんにちは!
株式会社Tnor、更新担当です。
さて
~確認事項~
ということで、精密機器洗浄に携わる現場で実施すべき高度な事前確認事項を、5つの視点から詳しく解説します。
精密機器分野における産業洗浄は、他業種と比べて格段に高い精度と管理レベルが求められます。半導体、医療機器、航空部品、光学機器などの分野では、わずかな粒子・汚染が致命的な欠陥や不良を引き起こす可能性があるため、洗浄工程は製品の品質保証において非常に重要です。
そのため、作業前の「事前確認」を徹底することが、安全性と製品品質を両立させる鍵となります。
精密機器では、部品の材質やコーティングが非常に繊細です。まずは以下の点を詳細に確認する必要があります:
材質の種類:アルミニウム、チタン、セラミック、ステンレス、特殊樹脂など
表面処理の有無:酸化膜、陽極酸化、メッキ、樹脂コートなど
耐薬品性・耐熱性の確認:薬品や温水の使用が想定される場合は必須
表面を傷つけたり、コーティングを剥がすような洗浄方法を避けるため、図面・仕様書の事前取得と確認が重要です。
精密機器分野では、「洗浄した」だけでは不十分です。どのレベルまで清浄にするか、クリーンネス基準を正確に把握しましょう。
パーティクル(粒子)サイズの基準:例)0.3μm未満の粒子残留なし
油脂・有機物の残留許容範囲:TOC(全有機炭素)基準など
イオンクリーニング基準:金属イオンや塩素イオンの残留管理
洗浄後の検査方法(光学顕微鏡、FTIR、白濁試験など)とあわせて、顧客と仕様を事前にすり合わせる必要があります。
精密部品の洗浄では、薬品や超音波の使用条件が極めて限定されることがあります。
中性洗剤や超純水の使用が前提のケースも多い
超音波洗浄の周波数や出力の設定確認(共振による破損防止)
真空洗浄・気化洗浄など特殊工法の指定がある場合も
使用薬品のSDSの確認と、保管・希釈方法の明文化
特に有機溶剤(IPA、アセトンなど)を使用する場合は、防爆設備や換気の有無も確認しましょう。
精密機器洗浄では、洗浄環境自体のクリーン度も重要です。以下の環境条件を作業前にチェックしましょう。
クラス100~100,000のクリーンルームレベルの確認
エアシャワー・粘着マットなどの異物管理設備の有無
作業員の無塵服・手袋・マスク・靴カバーの着用状況
静電気管理(ESD対策)が必要な場合の装備確認
搬入前後の製品保管方法(クリーンパック、真空包装など)も事前に確認し、不純物再付着のリスクを防ぎます。
精密分野では、「誰が」「いつ」「どのように」洗浄したかを追跡可能にする必要があります。
作業員の記録、使用薬品のロットNo、洗浄条件のログ化
洗浄後の乾燥・検査記録の保管
顧客提出用の清浄度検査結果の帳票準備
自社でのISO9001やISO13485の運用体制がある場合は、それに準じた文書管理を徹底します。
精密機器の洗浄では、「見た目がきれい」では不十分であり、数μm以下の異物・残留物までコントロールすることが求められます。
それを実現するためには、事前確認を徹底してリスクを最小限に抑えるプロセス設計が不可欠です。
項目 | チェック内容 |
---|---|
対象物 | 材質、コーティング、寸法 |
清浄度 | パーティクル基準、TOC、イオン残留 |
洗浄法 | 使用薬品、機器の設定、手順 |
環境 | クリーンルーム条件、作業者PPE |
管理 | 記録の保管・提出フォーマット |
作業前の5分の確認が、製品の不具合ゼロ・顧客信頼の向上に繋がります。ぜひ自社の手順書や教育マニュアルに取り入れてください。
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